Japanese
English
第1土曜特集 老化を標的とした疾患予防・治療
各論
抗PD-1抗体を用いた老化細胞除去
Application of anti-PD-1 antibody to senolysis
川上 聖司
1
,
Teh-Wei Wang
1
,
中西 真
1
Satoshi KAWAKAMI
1
,
Teh-Wei WANG
1
,
Makoto NAKANISHI
1
1東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野
キーワード:
老化細胞
,
senolysis
,
PD-L1(programmed cell death 1-ligand 1)
Keyword:
老化細胞
,
senolysis
,
PD-L1(programmed cell death 1-ligand 1)
pp.381-386
発行日 2023年11月4日
Published Date 2023/11/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28705381
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
現代のような長寿社会において老化は社会問題となっており,老化の原因となるメカニズムを同定して加齢性の機能低下や疾患を改善し,老年期のQOLを改善することが求められている.近年,加齢に伴う老化細胞の蓄積がさまざまな老化現象を誘導しているのではないかと注目されており,老化細胞を除去するsenolysis法の開発が進んでいる.老化細胞は若齢時にもさまざまなストレスに応答して蓄積するが,その多くは免疫系の作用によって除去されていると考えられている.本研究では,免疫抑制因子PD-L1(programmed cell death 1-ligand 1)を発現する老化細胞が加齢に伴い体内に蓄積し,免疫監視を逃れることで老化細胞の蓄積が進むというモデルを提唱した.そして,がん治療としても用いられている抗PD-1(programmed cell death 1)抗体の投与によって免疫チェックポイントを阻害することで実際に老化細胞が除去され,さまざまな加齢性の機能低下や疾患の症状を改善することが明らかとなり,抗PD-1抗体治療がsenolysisの手法のひとつとなりうることが示された.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.