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第1土曜特集 老化を標的とした疾患予防・治療
各論
がん細胞の老化促進による持続的な抗がん作用を示すα線標的アイソトープ治療薬の開発
Development of a 211At-labelled radiopharmaceutical that induces cancer senescence to elicit antitumor efficacy
張 明栄
1
Ming-Rong ZHANG
1
1国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構量子生命・医学部門量子医科学研究所先進核医学基盤研究部
キーワード:
代謝型グルタミン酸1型受容体(mGluR1)
,
老化
,
18F-FITM
,
211At-AITM
,
老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)
Keyword:
代謝型グルタミン酸1型受容体(mGluR1)
,
老化
,
18F-FITM
,
211At-AITM
,
老化関連β-ガラクトシダーゼ(SA-β-gal)
pp.387-393
発行日 2023年11月4日
Published Date 2023/11/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28705387
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がん細胞や老化細胞の表面に多く存在する代謝型グルタミン酸1型受容体(mGluR1)を標的として,陽電子放出断層撮影(PET)用の放射性プローブ18F-FITMを開発した.18F-FITMを用いて担がんマウスに対して撮像した結果,mGluR1が高発現するメラノーマに高い放射能集積が認められ,腫瘍を選択的に描出することができた.また,18F-FITMをベースにして飛程距離が短く,細胞破壊力が強いα線を放出する標的アイソトープ治療薬211At-AITMを開発し,がんの治療実験を行った.その結果,乳がんや膵がんなどの広いがん種に対して211At-AITMの単回投与で顕著かつ持続的な抗がん作用が認められた.さらに,211At-AITMの抗がん作用は従来から知られている放射線によるDNA損傷作用に加えて,がん細胞への老化促進とがん遺伝子抑制に伴う増殖阻害作用が掛け合わさって発揮されることが明らかとなった.
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