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特集 適応障害(適応反応症)の予防と対策
【予防と対策】
子どもの適応障害のとらえ方と対応のあり方
Assessment and treatment to adjustment disorders in children
笠原 麻里
1
Mari KASAHARA
1
1駒木野病院副院長
キーワード:
環境要因
,
精神発達
,
ストレス因
,
適応反応
Keyword:
環境要因
,
精神発達
,
ストレス因
,
適応反応
pp.263-266
発行日 2023年10月28日
Published Date 2023/10/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28704263
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子どもは生まれて育つ間,その環境に依存しなくては生きていくことができない.特に幼少期には,親や主たる養育者の態度,行動,文化的背景を受け入れて育つ.その養育者も,生活する家庭環境や社会情勢や気候風土から,さまざまな影響を受けて生活し,育児をする.子どもが育つ養育環境は,重なり合って子どもに作用する.
また,子ども自身にとっては,精神発達に必要な課題に応じて依存する環境への重要度が変化する.乳幼児期には親や主たる養育者への依存度が高いが,学童期になれば学校生活などにおける体験の重要度が高まり,青年期には仲間関係やアイデンティティに関わるテーマの重要性が増す.つまり,発達段階によって,子どもが影響を受ける環境の意味合いが変わるので,子どものストレス因を評価する際には,発達段階によるストレッサーの重みの違いを考慮する必要がある.
さらに,子どもは経験の乏しさから,大人ではストレス因になりにくい出来事がストレスになったり,子ども自身の能力や発達特性によってその子特有のストレスを抱えていたりする場合もある.特に,知的障害や自閉スペクトラム症では,出来事に対する理解や認知が独特なために,状況によってはより大きなストレスを感じやすいことがある.
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