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特集 適応障害(適応反応症)の予防と対策
【予防と対策】
進行がん患者における適応障害の予防と対策
Prevention and management of adjustment disorder for progressive cancer patients
土井 善貴
1
,
清水 研
1
Yoshitaka DOI
1
,
Ken SHIMIZU
1
1公益財団法人がん研究会有明病院腫瘍精神科
キーワード:
サイコオンコロジー
,
demoralization
,
実存的苦痛
Keyword:
サイコオンコロジー
,
demoralization
,
実存的苦痛
pp.267-271
発行日 2023年10月28日
Published Date 2023/10/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28704267
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がん患者はその治療過程において多くのストレスに曝される.サイコオンコロジーの分野では,がん患者のがんと “こころ” の関係を学際的に取り扱い,日々患者の診療にあたっている.がん患者は “悪い知らせ” を伴う情報共有を避けられず,その際に多大な衝撃を受ける.その衝撃に伴う心理的負担によって生じる抑うつ症状は,通常2週間程度で適応的な水準に回復するが,ストレス対処に失敗すると,適応障害やうつ病と診断される水準で遷延し,療養生活やがん治療への悪影響をきたす.特に進行がん患者は,自らの生命を脅かされる脅威との直面や治療の不確実性に対する不安の増大に加え,人生の意味の喪失や周囲の人間関係の移り変わりなど,実存的苦痛が絡んだストレスを抱え,適応障害やうつ病,demoralizationなどの不適応状態に至りやすい.日々の支持的な対話は,そういった不適応状態への予防と対策として,全医療者が取り組める介入である.加えて,緩和ケア領域における実存的苦痛に焦点を当てた精神療法についても紹介する.
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