Japanese
English
特集 AKI-to-CKD transition
近位尿細管上皮細胞の細胞老化とAKI-to-CKD transition
Cellular senescence of proximal tubular epi-thelial cells and AKI-to-CKD transition
岸 誠司
1
Seiji KISHI
1
1川崎医科大学腎臓・高血圧内科学
キーワード:
近位尿細管上皮細胞
,
細胞老化
,
AKI-to-CKD transition
,
線維化
Keyword:
近位尿細管上皮細胞
,
細胞老化
,
AKI-to-CKD transition
,
線維化
pp.953-957
発行日 2023年9月16日
Published Date 2023/9/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28612953
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急性腎障害(AKI)は予後不良であるのみならず,たとえAKIから回復したとしてもその後に慢性腎臓病(CKD)へ移行する症例が増加している(AKI-to-CKD transition).これは腎臓に生じた深刻な障害のため,不可逆的な病理学的変化や間質性線維化の結果であり,従来考えられてきた糸球体疾患の進展とともにネフロン数が減少して腎機能が低下するという概念とは異なる病態である.この病態に腎固有細胞として重要なのは近位尿細管上皮細胞で,障害後の不全修復状態に陥った近位尿細管上皮細胞がsenescence-associated secretory pheno-typeという特異的な表現型を獲得して,間質線維化を進展させることが多くの基礎研究によって明らかにされてきている.老化・加齢と細胞老化は異なる現象であるが,近位尿細管上皮細胞が老化するメカニズムを制御することや老化近位尿細管上皮細胞の除去が腎臓病治療の新たな選択肢となることが期待されている.
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