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第5土曜特集 生体イメージングの最前線――絶え間ない技術革新と生命医科学の新展開
イメージングで神経活動を解析する
発達期の樹状突起刈り込みを制御するシナプス競合のメカニズム
Mechanisms of synaptic competition for developmental dendrite pruning
藤本 聡志
1
,
今井 猛
1
Satoshi FUJIMOTO
1
,
Takeshi IMAI
1
1九州大学大学院医学研究院疾患情報研究分野
キーワード:
樹状突起
,
自発神経活動
,
神経回路形成
,
シナプス刈り込み
,
生後発達
Keyword:
樹状突起
,
自発神経活動
,
神経回路形成
,
シナプス刈り込み
,
生後発達
pp.365-371
発行日 2023年7月29日
Published Date 2023/7/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28605365
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哺乳類の神経系において,神経細胞は発達初期に過剰なシナプスを形成した後,神経活動依存的なリモデリングを行うことで回路を精緻化する.ここでは,異なる入力を受けるシナプスが互いに競合することで,あるシナプスが安定化される一方,他方のシナプスが刈り込まれる.神経活動依存的な安定化はヘブ則に基づいて生じると考えられているが,シナプス刈り込みを制御するシナプス競合の実体はまったく不明なままであった.発達期の嗅球において,僧帽細胞は刈り込みによって単一の主樹状突起を形成する.本研究では,この過程にグルタミン酸性の自発神経活動が必要であることを見出した.さらにNMDA受容体を介した局所シグナルがRhoAを抑制し,入力を受けた主樹状突起を刈り込みから保護する一方,脱分極により活性化されるRhoAが残りの樹状突起を刈り込むことを明らかにした.同様のシグナルはバレル皮質の第4層の受容野形成においても必要であった.本研究により,NMDA受容体-RhoAシグナルに依存したシナプスの局所的な保護機構と側方抑制こそがシナプス競合の実体であり,神経細胞の受容野形成の普遍的な原理であることが明らかになった.
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