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第5土曜特集 生体イメージングの最前線――絶え間ない技術革新と生命医科学の新展開
イメージングで神経活動を解析する
成体脳で新生するニューロンが,睡眠中に恐怖記憶を固定化する
Adult-born neurons consolidation fear memory during sleep
菅谷 佑樹
1
,
坂口 昌徳
2
Yuki SUGAYA
1
,
Masanori SAKAGUCHI
2
1東京大学大学院医学系研究科
2筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構
キーワード:
ニューロン新生
,
カルシウムイメージング
,
最初期遺伝子
,
超小型蛍光顕微鏡
Keyword:
ニューロン新生
,
カルシウムイメージング
,
最初期遺伝子
,
超小型蛍光顕微鏡
pp.359-363
発行日 2023年7月29日
Published Date 2023/7/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28605359
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レム睡眠は夢をよくみる睡眠相として同定され,記憶の再活性化が起きていると考えられている.その障害は心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患の症状と関連している.記憶の再活性化に関連する脳領域として海馬歯状回があり,成体でもニューロンが新生している.筆者らは,カルシウムイメージングを用いて,恐怖学習に関わる新生ニューロンが学習後のレム睡眠中に再活動することを発見した.さらに,レム睡眠中の活動が新生ニューロンのシナプスの可塑的変化とともに,恐怖記憶の固定化に必要不可欠であることも明らかにした.シナプス可塑性はシータ振動という特定の活動パターンと関連しており,今後,レム睡眠中の新生ニューロンとシータ振動との同期活動を分析することで,記憶の固定化のメカニズムについて理解を深めることが期待される.また,新生ニューロンが記憶回路に統合される仕組みを解明することは,中枢神経の再生医療の発展に寄与する可能性がある.
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