Japanese
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特集 オキシトシンの向精神作用と精神疾患治療応用への展望
信頼におけるオキシトシンの役割
Role of oxytocin in trust
李 述冰
1
,
高岸 治人
2
Shubing LI
1
,
Haruto TAKAGISHI
2
1玉川大学大学院脳科学研究科
2同脳科学研究所
キーワード:
オキシトシン
,
信頼
,
一般的信頼
,
信頼ゲーム
,
MRI
Keyword:
オキシトシン
,
信頼
,
一般的信頼
,
信頼ゲーム
,
MRI
pp.153-157
発行日 2023年7月8日
Published Date 2023/7/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28602153
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オキシトシンは視床下部の室房核,および視索上核で合成される神経ペプチドであり,ヒトの社会性を調節する重要な物質であることがこれまで示されてきた.しかし近年,オキシトシンの “信頼ホルモン” としての役割に疑問を呈する研究結果が示されている.本稿では,筆者らの一連の研究を紹介することで,信頼におけるオキシトシンの役割について再考することを目的とした.これまでの研究の結果,オキシトシン受容体遺伝子の多型(rs53576)と信頼行動の関連は信頼態度が媒介する効果を持つこと,オキシトシン受容体遺伝子の多型と信頼態度の関連は左扁桃体の体積が媒介する効果を持つこと,そして安静時の唾液中オキシトシン濃度は信頼態度のなかでも用心深さと関連することが明らかになった.これらの結果は,オキシトシンは信頼ホルモンというよりも他者からの搾取に対する不安を調節する安心ホルモンとして作用していることを示している.
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