Japanese
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特集 オキシトシンの向精神作用と精神疾患治療応用への展望
オキシトシンの神経機能解剖学
Functional neuroanatomy of oxytocin system in the central nervous system
上田 陽一
1,2
,
丸山 崇
2
Yoichi UETA
1,2
,
Takashi MARUYAMA
2
1産業医科大学学長研究室
2同医学部第1生理学
キーワード:
オキシトシン
,
室傍核(PVN)
,
視索上核(SON)
,
オキシトシン受容体
Keyword:
オキシトシン
,
室傍核(PVN)
,
視索上核(SON)
,
オキシトシン受容体
pp.133-137
発行日 2023年7月8日
Published Date 2023/7/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28602133
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オキシトシンは,バソプレシンとともに下垂体後葉ホルモンのひとつであり,視床下部室傍核(PVN)および視索上核(SON)に局在する大細胞性神経分泌ニューロンの細胞体で産生され,下垂体後葉に投射した軸索終末から活動電位依存性に血中に開口放出される.オキシトシンの末梢作用は,妊娠末期における子宮筋の収縮と分娩促進,出産後の射乳反射に関与していることがよく知られている.一方で脳内においては,オキシトシン受容体が広範に分布しており,また,オキシトシンを含有する神経終末の投射が種々の神経核で同定され,それらの部位では神経伝達物質・修飾物質として働いている.中枢神経系におけるオキシトシンの生理的役割として,愛情・子育て行動,信頼・親子の絆形成,抗不安などの神経回路に関連していることから近年注目されている.本稿では,オキシトシンを産生するニューロンの局在とその軸索の投射先,脳内オキシトシン受容体の分布および最近明らかとなりつつあるオキシトシンの新たな生理作用について自験例を含めて概説する.
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