Japanese
English
特集 社会性と脳
オキシトシンと社会脳,自閉症
Oxytocin, social brain, and autism
山末 英典
1
Yamasue Hidenori
1
1浜松医科大学医学部精神医学講座
キーワード:
医師主導臨床試験
,
オキシトシン
,
サロゲートエンドポイント
,
中間表現型
,
マルチモダリティ脳画像解析
Keyword:
医師主導臨床試験
,
オキシトシン
,
サロゲートエンドポイント
,
中間表現型
,
マルチモダリティ脳画像解析
pp.73-76
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200759
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自閉スペクトラム症(autism-spectrum disorder;ASD)の中核症状で,表情や視線や声色,あるいは言語を介して他者と双方向性に交流することの障害である社会的コミュニケーションの障害に対する有効な治療方法は確立されておらず,本人や家族,更には社会全体への過度な負担が問題となっている。そうしたなかで近年,ハタネズミなどの実験動物において愛着や友好関係の形成に重要な役割を示すことが知られてきた神経ペプチドでもあるオキシトシンの投与で,ヒトでも表情や顔の認知の改善と,何らかの利益を共有するような仲間集団内での信頼関係が促進されることが,メタ解析レベルで示された1)。更に,ASD当事者においても,朗読の際の情感の理解困難などの症状や,目元から感情を推し量る能力の改善や協調的な行動が促進されるという報告が続いた2)。こうした知見から,ASD中核症状に対する初の治療薬としてのオキシトシン経鼻剤の可能性に関心が集まってきている3,4)。
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