講座 実地医家のためのホルモン講座
オキシトシン
田 根培
1
,
大谷 香
1
,
高木 繁夫
1
Konbai Den
1
1日本大学医学部産科学婦人科学教室
pp.744-749
発行日 1985年9月10日
Published Date 1985/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207247
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オキシトシンは,視床下部由来のオクタペプチド・ホルモンの1つである。すなわち視床下部の旁室核および視索上核は,それぞれのニューロンを下垂体後葉に向けて投射する一方,核内に存在するマグノセル・ニューロンにおいてオキシトシンを産生する。産生されたオキシトシンは,正中隆起を通る軸索内を下垂体後葉へと運搬されるが,その際オキシトシンは担体蛋白質であるニューロフィジンと結合して移行し,この複合体が下垂体後葉に到達した後貯蔵され,神経末端の興奮,すなわち脱分極によってニューロフィジンと解離し血中に放出され,標的臓器に到達してその生理作用を発揮する。下垂体からのオキシトシン放出はカルシウム依存性であり,①上位中枢を介する神経内分泌反射,②いわゆるFer—guson反射1),③プロスタグランディンによる放出作用などが示唆されている。
オキシトシンの分子量は1,007であり,8個のアミノ酸より構成され,血漿中半減期は5分以内ときわめて短い。またその生理作用として,①子宮筋収縮,②射乳,③卵管の蠕動運動亢進,薬理作用として,④インスリンおよびグルカゴン分泌促進,⑤抗利尿および血圧上昇(バンプレッシンの約1/100)が知られている。たとえば,オキシトシンは分娩に関連し,また妊娠時の子宮筋や乳腺に対して特異的作用を有するが,それらはいずれもオキシトシンの平滑筋収縮作用によるものとみなされる。
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