Japanese
English
特集 オキシトシンの向精神作用と精神疾患治療応用への展望
統合失調症とオキシトシン作動性システム障害
Schizophrenia and oxytocin system dysfunction
仲田 祐介
1
,
金原 信久
2
,
伊豫 雅臣
1,2
Yusuke NAKATA
1
,
Nobuhisa KANAHARA
2
,
Masaomi IYO
1,2
1千葉大学大学院医学研究院精神医学
2同社会精神保健教育研究センター
キーワード:
統合失調症
,
治療抵抗性統合失調症
,
社会認知機能障害
,
オキシトシン
Keyword:
統合失調症
,
治療抵抗性統合失調症
,
社会認知機能障害
,
オキシトシン
pp.143-147
発行日 2023年7月8日
Published Date 2023/7/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28602143
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統合失調症は幻覚・妄想などの陽性症状,感情鈍麻,感情の平板化などの陰性症状,認知機能障害などが主要な精神症状である.抗精神病薬の登場は,陽性症状の重症度改善や患者の入院率低下などに寄与したが,一方,陰性症状や認知機能障害などについては改善に乏しいことがわかっている.陰性症状や認知機能障害は社会機能障害につながり,患者の予後に多大な影響を与えるため,それらの症状の改善は統合失調症の治療におけるアンメットニーズとなっている.近年,治療薬の候補としてオキシトシンが着目され,その知見が蓄積されてきているが,その多くは内因性オキシトシン濃度やオキシトシン受容体遺伝子,点鼻オキシトシンの有効性についての報告である.現状では一貫した結果が得られているとは言い難いが,オキシトシンは統合失調症の陰性症状や認知機能障害に対して,有力かつ効果的な治療薬の候補として考えられる.
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