Japanese
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連載 細胞を用いた再生医療の現状と今後の展望――臨床への展開・Vol.9
滑膜由来間葉系幹細胞を用いた変形性膝関節症の治療
Treatment of knee osteoarthritis using synovial mesenchymal stem cells
遠藤 健太郎
1
,
関矢 一郎
1
Kentaro ENDO
1
,
Ichiro SEKIYA
1
1東京科学大学再生医療研究センター
キーワード:
変形性膝関節症(OA)
,
滑膜
,
間葉系幹細胞(MSCs)
,
関節軟骨
Keyword:
変形性膝関節症(OA)
,
滑膜
,
間葉系幹細胞(MSCs)
,
関節軟骨
pp.524-529
発行日 2025年2月8日
Published Date 2025/2/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292060524
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SUMMARY
変形性膝関節症(OA)は関節軟骨の摩耗や半月板逸脱により関節の変形が進み,膝の痛みや運動機能障害を引き起こす加齢性疾患である.高齢化に伴って世界中で患者数は増加傾向にあるが,現状では,その構造的変化を改善させる治療は存在しない.間葉系幹細胞(MSCs)の関節内注射はOAの痛みを改善する効果が数多く確認されているが,軟骨の改善効果についてはエビデンスが不足している.滑膜由来のMSCsは優れた軟骨再生能を持ち,関節の再生医療に最適な細胞ソースである.筆者らは臨床研究にて,OA患者の膝に自家滑膜MSCsを注射することで,それまで減少していた軟骨が改善されることを明らかにした.現在はOAに対する構造改善治療としての実用化を目指し,医師主導治験を進行中である.また,基礎研究においても滑膜MSCsのユニークな特徴が解明されつつあり,今後のOA細胞治療の鍵となると考えている.
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