特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
3.発生・分化・老化・再生医学
間葉系幹細胞の起源
梅澤 明弘
1
Akihiro Umezawa
1
1国立成育医療センター研究所生殖医療研究部
pp.394-395
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100529
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間葉系細胞とは骨,軟骨,脂肪,骨格筋,真皮,靭帯,腱といった結合織細胞を総称しており,発生学的に沿軸中胚葉(paraxial mesoderm)由来の細胞である。1999年,ヒト間葉系幹細胞から骨,軟骨,脂肪に分化する多分化能を有する間葉系幹細胞を同定した報告をPittengerらが行った1)。また,この沿軸中胚葉(骨,軟骨,脂肪)の他に,心筋,平滑筋,血管内皮といった発生学的に臓側中胚葉(visceral mesoderm)由来の細胞があり,間葉系幹細胞のなかに臓側中胚葉にも分化できる幹細胞が見出された。またさらに,一部の間葉系幹細胞は神経上皮由来であることも明らかになった2)。間葉系幹細胞は分化能に応じて階層構造を形成しているものと考えられており,それぞれの分化段階の階層において造血系のような前駆細胞といった中間体としての同定が可能かどうかは不明である3)。このような間葉系幹細胞の供給源として,骨髄,臍帯血,臍帯,胎盤,月経血,子宮内膜,胎児,真皮,脂肪,末梢血などがあげられる。
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