Japanese
English
第1土曜特集 ARDSの治療戦略――個別化診療への道筋
その他の治療
Precision medicineと薬剤治療
Precision medicine and drug therapy
片岡 惇
1
Jun KATAOKA
1
1練馬光が丘病院総合救急診療科集中治療部門
キーワード:
精密医療(precision medicine)
,
薬剤治療
,
異質性(heterogeneity)
,
サブフェノタイプ
Keyword:
精密医療(precision medicine)
,
薬剤治療
,
異質性(heterogeneity)
,
サブフェノタイプ
pp.103-108
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28601103
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は “何らかの傷害による肺の病的反応” と疾患概念が定義されているものの,臨床的にはある一定の診断基準を満たしたら診断される症候群であるという,診断的および病態生理的な異質性(heterogeneity)の可能性が根底にある.ARDS全体の予後改善を目指した多くの薬剤治療が失敗に終わってきた歴史があるなかで,近年ではそれぞれの薬剤治療に対し効果のあるグループを探すという精密医療(precision medicine)の検討が多く行われてきている.さまざまな臨床データから機械学習を用いてクラスター分類を行い,治療効果の異質性を探る試みが行われており,ARDSには高炎症サブフェノタイプ(hyperinflammatory subphenotype)と低炎症サブフェノタイプ(hypoinflammatory subphenotype)があることがわかってきた.今後は,ランダム化比較試験(RCT)の組み込みの段階で治療反応性が期待されるサブフェノタイプを選択し,非選択なARDS全体にある薬剤治療を検討するよりも,より多くの利益を得られることを示すことを目的とした新たなプラットフォーム試験が計画されてきている.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.