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第1土曜特集 抗体医薬の進歩と課題
リード抗体取得・エンジニアリング技術
【非IgGモダリティ】
経口IgA抗体を用いた腸内細菌叢制御による治療薬開発
Development of therapeutic oral IgA drug for intestinal bacterial flora control
新藏 礼子
1
Reiko SHINKURA
1
1東京大学定量生命科学研究所免疫・感染制御研究分野
キーワード:
腸内細菌
,
免疫グロブリンA(IgA)
,
粘膜免疫
,
経口抗体
Keyword:
腸内細菌
,
免疫グロブリンA(IgA)
,
粘膜免疫
,
経口抗体
pp.898-901
発行日 2023年6月3日
Published Date 2023/6/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28510898
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Dysbiosisは,健康な微生物叢と比較して微生物組成が変化した状態を表す言葉である.腸管腔内という体外で起こるdysbiosisが,炎症性腸疾患,結腸・直腸癌,心血管疾患,肥満,糖尿病および多発性硬化症を含むさまざまな疾患と関連することが示されている.腸で産生され腸管腔に分泌される多量体免疫グロブリンA(IgA)抗体は,腸内微生物叢を調節するだけでなく,病原性細菌やウイルスを粘膜部位から排除するのに重要である.1970年代以降,治療用IgAまたはIgGの経口投与試験が腸炎を治療するために行われてきた.しかし,現在まで臨床開発に成功したものはない.個々の細菌に特異的な薬剤ではなく,腸内共生微生物叢全体のバランスを改善してdysbiosisを治療するためのIgA治療薬の開発を,筆者らは目指している.本稿では,経口治療用IgA抗体の利点と開発について議論する.
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