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特集 腸内細菌と免疫
腸管IgA抗体による腸内細菌制御
Role of immunoglobin A for regulation of intestinal commensal bacteria
森田 直樹
1
,
新藏 礼子
1
Naoki MORITA
1
,
Reiko SHINKURA
1
1東京大学定量生命科学研究所免疫・感染制御研究分野
キーワード:
腸内細菌
,
免疫グロブリンA(IgA)
,
腸管免疫
Keyword:
腸内細菌
,
免疫グロブリンA(IgA)
,
腸管免疫
pp.757-760
発行日 2021年8月28日
Published Date 2021/8/28
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27809757
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免疫グロブリンA(IgA)抗体は主に血清中と粘膜面に存在しており,とりわけ腸管管腔中に分泌される分泌型IgA抗体は粘膜面の恒常性維持に非常に重要な役割を持つ.IgA抗体は主にパイエル板を含む腸管関連リンパ組織や粘膜関連リンパ組織において,IgM+B細胞からactivation-induced cytidine deaminase(AID)により誘導されるクラススイッチ組換え(CSR)を介して分化するIgA産生細胞から産生される.これらの細胞から産生されるIgA抗体は上皮細胞基底膜に発現するpolymeric immunoglobulin receptor(pIgR)がJ鎖を介して多量体IgA抗体と結合することで,小胞体輸送により細胞基底膜側から粘膜面側へ移行する.腸管における病原微生物の感染時,病原体および病原毒素に対して高親和性IgA抗体が産生されることで,これらの異物の体内への侵入を防止している.また,病原性細菌のみならず腸内細菌に対してもこれらのIgA抗体は作用することで,宿主の恒常性維持に寄与している.
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