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第1土曜特集 腸内フローラの研究進展と臨床応用
基礎研究の進展
IgA抗体と腸内フローラ
-――有用菌/病因菌識別と臨床応用
IgA and intestinal microbiot
――Detection of beneficial/pathogenic bacteria and its clinical application
古谷 弦太
1
,
新藏 礼子
1
Genta FURUYA
1
,
Reiko SHINKURA
1
1東京大学定量生命科学研究所免疫・感染制御研究分野
キーワード:
分泌型IgA抗体
,
有用菌
,
病因菌
,
poly-reactivity
,
経口抗体医薬
Keyword:
分泌型IgA抗体
,
有用菌
,
病因菌
,
poly-reactivity
,
経口抗体医薬
pp.371-377
発行日 2024年11月2日
Published Date 2024/11/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu291050371
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元来,自己と非自己の識別機構である免疫系において,粘膜免疫系は非自己(細菌)との共生をつかさどる特殊な機構である.腸内細菌叢で,自己(宿主)にとって有益な細菌(有用菌,善玉菌)を残し,有害・不利益な菌(病因菌,悪玉菌)を抑制することが,疾患予防と健康維持に不可欠である1).分泌型IgA抗体は生体に最も豊富に存在するアイソタイプで,腸内細菌叢を制御する主要な因子のひとつである.健常な個体では,有用菌に結合しない一方で病因菌に結合するIgA抗体クローンが存在する.これらは病因菌のなかでも幅広い系統のものに結合するpoly-reactivityを有し,腸内細菌叢制御に重要な役割を担っている.一方で,病的な個体では有用菌/病因菌の識別能が失われている.本稿では,腸内細菌叢制御における分泌型IgA抗体の役割について,当研究室の研究成果を含め文献的考察を交えながら概説する.さらに,このIgA抗体の医薬品としての臨床応用性―菌製剤や便移植(FMT)に続く新しい腸内細菌叢制御戦略―を提示する.
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