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第1土曜特集 抗体医薬の進歩と課題
リード抗体取得・エンジニアリング技術
【非IgGモダリティ】
IgA抗体を用いた呼吸器ウイルス感染症治療薬の実現可能性
Feasibility of IgA antibodies as therapeutics for respiratory viral infections
早川 美奈子
1,2
,
鈴木 忠樹
1
Minako HAYAKAWA
1,2
,
Tadaki SUZUKI
1
1国立感染症研究所感染病理部
2東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学
キーワード:
IgA抗体
,
分泌型IgA抗体(SIgA抗体)
,
呼吸器ウイルス感染症
Keyword:
IgA抗体
,
分泌型IgA抗体(SIgA抗体)
,
呼吸器ウイルス感染症
pp.902-906
発行日 2023年6月3日
Published Date 2023/6/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28510902
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呼吸器ウイルス感染症治療薬としては,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とRSウイルス(RSV)感染症に対する中和抗体医薬が実用化されている.しかしCOVID-19では,中和抗体医薬が実用化後まもなく中和抗体を逃避する変異ウイルスが次々と出現し,有効性の低下が指摘されている.このような状況において,呼吸器ウイルスの感染標的である呼吸器粘膜組織における生理的な感染防御抗体のIgA抗体を用いた抗体医薬の可能性が模索されている.IgA抗体型の抗体医薬を実用化するためには,生体内に存在するIgA抗体が活性を発揮する機構を理解することが重要である.これまで,IgA抗体の誘導を目指した粘膜ワクチン開発研究のなかで,インフルエンザに対するIgA抗体の生理的機能,特に分泌型IgA抗体(SIgA抗体)構造と機能の関係性が明らかにされてきた.さらに,モノクローナル四量体SIgA抗体合成法が発明され,それを用いた詳細な抗ウイルス活性発現機構の研究において,多量体SIgA抗体の有用性が明らかになってきており,呼吸器ウイルス感染症に対するIgA抗体医薬の実用化が期待されている.
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