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第5土曜特集 糖尿病治療・研究の最前線2021
基礎研究
腸内細菌叢と糖尿病
Gut microbiota and diabetes
藤坂 志帆
1
,
戸邉 一之
1
Shiho FUJISAKA
1
,
Kazuyuki TOBE
1
1富山大学学術研究部医学系第一内科
キーワード:
腸内細菌
,
糖尿病
,
短鎖脂肪酸
,
Akkermansia muciniphila
Keyword:
腸内細菌
,
糖尿病
,
短鎖脂肪酸
,
Akkermansia muciniphila
pp.435-438
発行日 2021年1月30日
Published Date 2021/1/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu27605435
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ヒト腸管には約1,000種類,100兆個,重さにして約1.5kgの腸内細菌叢が常在し,さまざまな因子によってできた腸内環境に適応しながら特有の生態系を形成している.Firmicutes門,Bacteroidetes門,Actinobacteria門,Proteobacteria門の4つの門に分類される菌がほとんどを占める.それぞれの腸内細菌はほかの腸内細菌と共生関係を築きつつ,自らの生存のために活発に代謝を行い,さまざまな代謝産物を生み出す.それらの一部は腸管から吸収され宿主の体内で生理作用を発揮する.そして,腸内細菌叢の破綻(dysbiosis)が代謝疾患,消化器疾患,アレルギー/免疫関連疾患,神経精神疾患など,多くの疾病の発症や病態と関連することが明らかとなっている.近年,メタゲノム解析などのオミックス解析が盛んに行われるようになり,腸内細菌叢による糖代謝への作用が明らかになってきた.本稿では,糖尿病における腸内細菌叢の役割について概説し,その意義について考えてみたい.
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