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第1土曜特集 自律神経のサイエンス
パーキンソン病における自律神経機能障害
パーキンソン病に伴う心血管系の自律神経機能障害
Cardiovascular autonomic dysfunction in Parkinson’s disease
山元 敏正
1
Toshimasa YAMAMOTO
1
1埼玉医科大学脳神経内科
キーワード:
パーキンソン病(PD)
,
起立性低血圧(OH)
,
食事性低血圧(PPH)
,
臥位高血圧(SH)
,
自律神経機能障害
Keyword:
パーキンソン病(PD)
,
起立性低血圧(OH)
,
食事性低血圧(PPH)
,
臥位高血圧(SH)
,
自律神経機能障害
pp.592-597
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506592
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パーキンソン病(PD)では,心血管系の自律神経機能障害,便秘,排尿障害,発汗障害など,さまざまな自律神経症状がみられる.心血管系の自律神経機能障害として代表的なものに起立性低血圧(OH),食事性低血圧(PPH),臥位高血圧(SHT)がある.OHは病初期には頻度は高くないが,病気の進行とともにその頻度は増す.OHによる症状は起立後の立ち眩みやふらつき,失神だけではなく,疲労感や脱力感などの非特異的症状を示す場合がある.OHの存在は転倒,認知症,予後不良のリスクとなる.PPHは食後1時間以内に血圧低下のピークを認めるが,低下したまま数時間持続する症例もいる.OHよりも早期に,かつ高頻度に認められる.PPHは嗅覚障害,便秘,高血圧,OHと関連しているとの報告がある.OHとPPHの合併は多く,座位であっても食事中に血圧が過度に下降して意識を失ったり,また食後の起立や歩行によりふらつきや意識消失をきたして転倒し,外傷をきたすことがあるので注意が必要である.SHTのほとんどは無症状であるが,高度の場合には頭痛を認める場合もある.SHTは高齢発症,無動型,高血圧の既往があるPDでみられやすい.
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