Japanese
English
第1土曜特集 自律神経のサイエンス
消化管と自律神経
腸-肝臓-脳ネットワークによる腸管恒常性維持機構
Mechanisms of intestinal homeostasis by the gut-liver-brain network
寺谷 俊昭
1
,
三上 洋平
1
,
金井 隆典
1
Toshiaki TERATANI
1
,
Yohei MIKAMI
1
,
Takanori KANAI
1
1慶應義塾大学医学部内科学教室(消化器)
キーワード:
制御性T細胞(Treg)
,
抗原提示細胞(APCs)
,
迷走神経肝臓枝
,
ムスカリン型アセチルコリン受容体
,
大腸炎
Keyword:
制御性T細胞(Treg)
,
抗原提示細胞(APCs)
,
迷走神経肝臓枝
,
ムスカリン型アセチルコリン受容体
,
大腸炎
pp.574-578
発行日 2023年5月6日
Published Date 2023/5/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28506574
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腸管は食物を消化し,栄養素を吸収する大事な器官である.その腸管内には,食物をはじめとして細菌,ウイルス,化学物質などのさまざまな異物がたえず存在する.これら異物から生体を守るため,腸管内には巨大な免疫システムが存在する.腸管免疫は個体に害をなす異物を排除する一方で,個体生存に不可欠な栄養素などに対しては非常に寛容である.腸管の恒常性は免疫応答と免疫寛容の絶妙なバランスにより維持される.腸管免疫は遺伝的素因に加えて,食事内容や腸内細菌などの環境要因に強く影響を受ける.一方で,腸管機能は古くから脳・神経系の影響を強く受けることが知られているが,脳・神経系がどのような機序を介して腸管恒常性維持に寄与するのかは不明であった.近年,実施した当教室の解析により,腸管環境情報の伝達に肝臓が深く寄与すること,さらに腸-肝臓-脳ネットワークが腸管恒常性維持にきわめて重要であることが明らかとなった.そこで,本稿では当教室の研究を中心に,腸-肝臓-脳相関による炎症制御について概説する.
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