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特集 自律神経と免疫――ここまでわかった神経-免疫相互作用のメカニズム
腸-肝臓-脳相関による炎症制御
Regulation of inflammation by gut-liver-brain axis
寺谷 俊昭
1
Toshiaki TERATANI
1
1慶應義塾大学医学部消化器内科学
キーワード:
脳腸相関
,
自律神経系
,
迷走神経
,
抗原提示細胞(APC)
,
制御性T細胞(Treg)
Keyword:
脳腸相関
,
自律神経系
,
迷走神経
,
抗原提示細胞(APC)
,
制御性T細胞(Treg)
pp.1115-1119
発行日 2021年6月26日
Published Date 2021/6/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu277131115
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われわれはストレスで胃の痛みを感じたり,逆に,腹痛を感じて不安になったりと,経験的に腸と脳の相互作用を理解してきた.近年,腸管を支配する神経と免疫細胞に関する多数の基礎研究がなされており,分子レベルでの脳と腸の関係性が明示されつつある.しかし,脳は腸管環境の変化をどのようなメカニズムで認識しているのか,一方で,脳からの情報はどの神経回路を通じて腸管機能に影響を及ぼしているのか,脳と腸の関係にはまだ多くの謎が残っている.動物モデル用いた当教室の解析により,肝臓が腸管環境情報を集積・統合して脳へと伝達するハブとして機能すること,さらに,脳から腸へのフィードバック情報は,抗原提示細胞(APC)を介して制御性T細胞(Treg)による腸管恒常性維持に重要であることがわかった.腸管→肝臓→脳で構成される自律神経反射は,腸内細菌の乱れによって生じる現代病と深く関わっているとされる.そこで,本稿では当教室の研究を中心に,腸-肝臓-脳相関による炎症制御について概説する.
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