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第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子治療の歴史
History of human gene therapy
金田 安史
1
Yasufumi KANEDA
1
1大阪大学理事・副学長
キーワード:
遺伝子導入ベクター
,
補充療法
,
遺伝子治療製品
,
ゲノム編集
Keyword:
遺伝子導入ベクター
,
補充療法
,
遺伝子治療製品
,
ゲノム編集
pp.303-307
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505303
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遺伝子治療臨床研究がはじまって30年以上が経過した.当初,夢の治療法と思われ多くの臨床研究が行われたが,1990年代は成果が出ない一方で死亡事故や発がんなどの難題が次々と出現した.それらを解決しつつ,遺伝子組換え技術やゲノム解析法の飛躍的な進歩,ウイルス研究に基づくベクター開発などが進められ,ようやく2010年ごろまでにヒトの難病治療を可能にする技術にまで高められ,2011年以降は欧米を中心として次々と遺伝子治療の医薬品が承認されてきた.わが国でも2つの日本発の遺伝子治療製品が承認されている.従来の遺伝子治療は患者の遺伝子は操作せず,正常な遺伝子を導入して機能を補う補充療法であった.一方,遺伝子変異を修正できるゲノム編集法が次々と開発され,特にCRISPR/Cas9法の開発とともに,遺伝子を操作する遺伝子治療の機運が一気に高まった.しかし遺伝子変異を修正する遺伝子治療臨床研究はまだ実現していない.また現行のゲノム編集法の課題も見出され,さらに効率がよく安全性の高い技術へと開発が進められている.
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