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第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
実用化に向けた遺伝子治療技術
遺伝子細胞治療
-――造血幹細胞を標的とする治療を中心に
Ex vivo gene therapy targeting hematopoietic stem cells, or other somatic cells
大津 真
1
Makoto OTSU
1
1北里大学医療衛生学部血液学,北里大学病院輸血部
キーワード:
造血幹細胞
,
体外(ex vivo)遺伝子治療
,
遺伝子付加
,
ゲノム編集
,
単一遺伝子病
Keyword:
造血幹細胞
,
体外(ex vivo)遺伝子治療
,
遺伝子付加
,
ゲノム編集
,
単一遺伝子病
pp.356-361
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505356
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遺伝子治療の承認薬が急増し,医療関係者に限らず一般の方にも広く “遺伝子治療” が認知される時代が到来している.特にキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は活況を呈しており,加えてアデノ随伴ウイルスベクターを用いたin vivo遺伝子治療も画期的製剤の登場を受け,臨床開発がますます盛んである.歴史をたどると1990年代,単一遺伝子難病の根治療法として期待され,先陣を切って開発が進められたのは,造血幹細胞を標的とする体外(ex vivo)遺伝子治療であった.臨床研究における副反応の発現など数々の試練を乗り越え,科学的知見の蓄積を伴い着実に進歩を続けてきた本モダリティであるが,現在商用化に至っているのは欧米における4製剤にすぎない.この間,iPS細胞(人工多能性幹細胞)の発見,ゲノム編集技術の革新などが進み,遺伝病治療とはどうあるべきか,あらためて深く見つめ直す時期にあると感じている.本稿では標的疾患を単一遺伝子病に絞り,ex vivo遺伝子治療の概要,現状,課題などを述べつつ,さらなる飛躍を期待して今後を展望してみたい.
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