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特集 膠原病に伴う循環器疾患
強皮症に伴う肺高血圧症の病態と治療
Pathophysiology and Management of Pulmonary Hypertension associated with Scleroderma
波多野 将
1
Masaru Hatano
1
1東京大学医学部附属病院循環器内科
1Department of Cardiovascular Medicine, The University of Tokyo Hospital
pp.1063-1071
発行日 2015年11月15日
Published Date 2015/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205841
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はじめに
全身性強皮症(SSc)に伴う肺高血圧症(PH)には肺動脈性肺高血圧症(PAH),左心疾患に伴う肺高血圧症(PVH),間質性肺疾患に伴う肺高血圧症(ILD-PH)など様々なものがある.また,PHのなかでも非常に稀な病態と考えられている肺静脈閉塞症(PVOD)についても,SScの患者には合併頻度が高いことが明らかとなってきた.PAHについては近年次々と新たな肺血管拡張薬が登場してきたことに伴い,その治療成績も飛躍的に進歩しているが,SSc-PAHは肺血管拡張薬に対する反応が不良な症例も多く,予後は依然として不良である.さらに,PAH治療薬のPVHやILD-PHに対する有効性は明らかではなく,むしろ病態を悪化させてしまうケースもあるため,個々の病状に応じた治療方針の決定が求められる.一方で,予後不良とされるSSc-PAHであっても,積極的なスクリーニングによる早期発見・早期治療介入を行うことによりその予後を改善できることが近年示され,SSc-PAHにおいてはスクリーニングの重要性が一段と高まってきている.本稿ではこのような複雑な病態を呈するSScに伴うPHについて,その分類からスクリーニングおよび治療について解説する.
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