Japanese
English
特集 環境化学物質が人体へ与える影響
農薬類の健康影響リスク評価とリスク管理
Human health risk assessment and risk management of pesticides
上島 通浩
1
Michihiro KAMIJIMA
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科環境労働衛生学分野
キーワード:
農薬取締法
,
食品衛生法
,
残留農薬基準
,
不確実係数(安全係数)
,
1日許容摂取量(ADI)
Keyword:
農薬取締法
,
食品衛生法
,
残留農薬基準
,
不確実係数(安全係数)
,
1日許容摂取量(ADI)
pp.127-131
発行日 2023年4月8日
Published Date 2023/4/8
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28502127
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
一般消費者における農薬の健康影響リスク評価とリスク管理は,主に農薬取締法と食品衛生法に基づき行われている.農薬取締法が定める審査に合格し登録された農薬のみが,適用作物に対して定められた使用方法(農薬使用基準)に従った使用を許可される.登録審査過程では,当該農薬の各種毒性試験結果をもとに,微量の残留農薬を口にする想定で健康への悪影響が生じないための上限値である1日許容摂取量(ADI)および急性参照用量(ARfD)が,実験動物における最大無毒性量(NOAEL)に1/100の不確実係数(安全係数,「サイドメモ1」参照)を乗じて設定される.そして,日常の食生活でこれを超えないように,適用作物における残留農薬基準が決められる.使用基準に従う限り,農薬残留量が残留農薬基準を超えることは基本的にない.さらに食品衛生法により,基準を超えた食品の流通は禁止され,回収・廃棄されるため,ADIやARfDを超える量の農薬成分を口にする可能性はきわめて低い.本稿では,わが国における農薬のリスク管理の全体像とともに,最近の話題についても触れる.
Copyright © 2023 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.