事例報告
農薬空中散布の環境および健康への影響調査
彦坂 直道
1
,
菊池 誠太郎
1
,
古内 文子
1
,
町田 光子
1
Naomichi HIKOSAKA
1
,
Seitaro KIKUCHI
1
,
Fumiko FURUUCHI
1
,
Mitsuko MACHIDA
1
1宮城厚生協会坂総合病院
pp.353-357
発行日 1990年5月15日
Published Date 1990/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900103
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●はじめに
近年,農薬を低コストで人手を使わずに散布する航空防除,いわゆる空中散布(以下空散と略記)が広く行われているが,これに対する住民の不安も強く,各地で反対運動が起きており,反対派住民による空散後の健康アンケート調査では,いずれも人体への悪影響が示唆される結果が出ているようである.
しかし,散布をする農協側や,それを許可している行政のサイドでは,空散を許可している薬剤は「いずれも低毒性の農薬であり安全である」と言ってはいる1).しかし,我々が文献上で調べた限り,その根拠は実験室のデータであり,空散後のフィールドの環境調査や,人体への影響についての疫学的調査による安全性の立証ではない.こうしてみると,空散の,人体への影響や環境への影響については未知の状況にあるというのが現状であろう.
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