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第1土曜特集 全ゲノム解析に基づく難病のゲノム医学
各論
遺伝性腫瘍の全ゲノム解析
Whole genome analysis of hereditary tumor syndromes in the era of precision oncology
井本 逸勢
1
Issei IMOTO
1
1愛知県がんセンター研究所,愛知県がんセンターゲノム医療センターリスク評価室
キーワード:
遺伝性腫瘍
,
病的バリアント
,
全ゲノム解析
,
polygenic risk score(PRS)
Keyword:
遺伝性腫瘍
,
病的バリアント
,
全ゲノム解析
,
polygenic risk score(PRS)
pp.97-102
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu2850197
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がんの5~10%は,特定のがん易罹病性遺伝子に生殖細胞系列の病的バリアント(GPV)を保持する個体に発生する遺伝性腫瘍である.臨床現場ではすでに,多数の既知の遺伝性腫瘍原因遺伝子を搭載し,主にタンパクコード領域のエクソンの塩基配列を検索する多遺伝子パネルを用いた遺伝学的検査が用いられている.現在,臨床実装に向けて準備中の全ゲノム解析が遺伝性腫瘍の診療に与える影響として,新規の疾患や原因遺伝子の同定に加え,表現型から遺伝性腫瘍が疑われながらGPVが未検出の症例における新規GPVの同定や,これまでと異なる表現型スペクトルを示すGPVが原因となる新たな遺伝性腫瘍の同定などが期待される.加えて,全ゲノム解析で原因遺伝子のGPVと同時に検出されるゲノム情報から得られるpolygenic risk score(PRS)などの予測モデルを統合し,がん発症の絶対リスクの予測能をさらに高めることで,個人のゲノム情報に基づく精密な個別化予防が臨床実装できる可能性がある.
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