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第1土曜特集 全ゲノム解析に基づく難病のゲノム医学
各論
多因子性神経難病の全ゲノム解析
-――筋萎縮性側索硬化症
Whole genome sequence in multifactorial neurological disease
――Amyotrophic lateral sclerosis
中村 亮一
1
,
熱田 直樹
1
,
祖父江 元
2
Ryoichi NAKAMURA
1
,
Naoki ATSUTA
1
,
Gen SOBUE
2
1愛知医科大学内科学講座(神経内科)
2愛知医科大学学長
キーワード:
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
SOD1
,
FUS
,
TARDBP
,
全ゲノム解析
Keyword:
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
SOD1
,
FUS
,
TARDBP
,
全ゲノム解析
pp.103-109
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28501103
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筋萎縮性側索硬化症(ALS)は全身の上位および下位運動ニューロンが進行性に変性し,脱落することを特徴とする代表的な神経難病であり,病態抑止療法の開発は喫緊の課題である.そのためには,家族性ALSの原因遺伝子や大部分を占める孤発性ALSの病態関連遺伝子を同定し,病態解明と治療薬探索を推進する必要がある.近年の遺伝子解析技術の進展により,25以上の家族性ALSの原因遺伝子が解明されてきている.一方で孤発性ALSは多因子疾患と考えられているが,遺伝率は39~61%と報告されており,遺伝要因の関与も相応にある.これまではSNP chipを用いたゲノムワイド関連解析(GWAS)が行われてきたが,近年,欧米では大規模なエクソーム解析,全ゲノム解析データを用いた関連解析がALSの遺伝子解析の主流となりつつある.欧米人と日本人のALS患者では遺伝的背景が一部異なることがわかっており,日本人でも全ゲノム解析を用いた関連解析による日本人固有のALS疾患関連遺伝子の解明が期待されている.
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