連載 Focus On
病原微生物と全ゲノム解析
青木 弘太郎
1
1東邦大学医学部微生物・感染症学講座
キーワード:
超並列シークエンサー
,
全ゲノム解析
,
薬剤耐性遺伝子
Keyword:
超並列シークエンサー
,
全ゲノム解析
,
薬剤耐性遺伝子
pp.158-165
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_158
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全ゲノム解析には超並列シークエンサー(MPS)が必須である.MPSは分子生物学研究のゲームチェンジャーであり,微生物検査へも応用されようとしている.薬剤耐性菌の一部は,染色体DNAとは異なる複製単位のプラスミドを乗り物として外来性に薬剤耐性遺伝子を獲得したものである.したがって,その解析には二つの異なる特徴をもつMPS(短鎖型および長鎖型)のデータを組み合わせ,完全長の染色体およびプラスミド塩基配列をそれぞれ解読する必要がある.また,病原体の伝播を証明するにはそれらの病原体が共通して保有する塩基配列領域(コアゲノム)における一塩基多型に基づいた解析が必要となる.MPSが微生物検査へ応用されるためには,turn-around-timeの短さ,ワークフローの簡便さ,費用対効果の改善が鍵となる.
© Nankodo Co., Ltd., 2023