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第1土曜特集 HIVの発見から40年――医学はどう戦ったか,これからどう戦うのか
HIV感染予防の新展開
HIV/AIDSに対する中和抗体とワクチン開発の今
Current status of neutralizing antibodies and vaccine development against HIV/AIDS
松下 修三
1
Shuzo MATSUSHITA
1
1熊本大学ヒトレトロウイルス学共同研究センター
キーワード:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ワクチン
,
HIV中和抗体
,
HIV寛解
,
広域中和抗体(bNAb)
Keyword:
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)ワクチン
,
HIV中和抗体
,
HIV寛解
,
広域中和抗体(bNAb)
pp.739-746
発行日 2023年3月4日
Published Date 2023/3/4
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28409739
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抗ウイルス療法(ART)の進歩は,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の予後の改善に加えて,新規感染阻止も可能にした.従来のコンドーム推奨に加えて,曝露前予防(PrEP)や早期診断・早期治療開始によって,ロンドンなどの先進地域では新規感染が減少している.しかし,新規感染が増加する地域も報告され,有効なHIVワクチンへの期待には変わりはない.HIVワクチンは,従来のワクチン開発戦略では困難な根本的課題を抱えており,これを克服する基礎的研究の積み重ねを必要としている.世界的な変異の蓄積,粘膜を介した性感染症であること,さらに中和抗体の誘導が困難な点などである.一方,HIV感染者のなかには有効な中和抗体が誘導されている症例があり,これらの症例から分離された中和モノクローナル抗体の臨床応用が試みられている.なかでも “HIV寛解” を目指した治療法の開発,潜伏感染リザーバー(latent reservoir)の排除に向けた取り組みは重要である.
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