連載 HIV/AIDSケア 再考・1【新連載】
HIV/AIDSケアは,今どういうことになっているのか
池田 和子
1
1国立国際医療センター エイズ治療・研究開発センター
pp.392-398
発行日 2007年4月1日
Published Date 2007/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661100604
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連載にあたって
1981年にアメリカでカリニ肺炎(現在はニューモシスチス肺炎)が報告されてから,四半世紀が経過した.1982年にCDCが一連の症状を示す患者をAIDS(acquired immunodeficiency syndrome;後天性免疫不全症候群)と命名し,その原因は1984年にHIV(human immunodeficiency virus;ヒト免疫不全ウイルス)と同定された.発見された当初,下痢や発熱による全身衰弱などへの対症療法が中心で致死率が高かった.また感染予防に関する情報が不十分で,医療現場は混乱していた.結果的に診療やケアは消極的で,患者への対応は悲惨なものであった.エイズ病棟で働くと「お嫁にいけなくなるからやめてくれ」と家族に懇願されるナースもいたと聞く.1996年頃に登場した治療の進歩でケアの内容は激変し,看護師の役割がようやく評価され始めた.昨年は,診療報酬改定で,ウイルス疾患指導料の加算に「看護師の専従配置」の要件が含まれたことは喜ばしい限りである.
HIV/AIDSケアは今,どのようなことになっているか.病気発見から25年余,ブロック拠点病院やエイズ治療・研究開発センターが設立されてから今春で10周年を迎えるにあたり,この素朴な疑問に答えるべく,連載を企画した.世界中でまったく勢力の衰えないHIV流行阻止の戦略を企てる意味で,読者の皆様には,基礎知識を再確認し,最新情報をup to dateしていただければ幸いである.
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