連載 誌上講義 国際看護学・7
HIV/AIDSとスティグマ
近藤 麻理
1
1岡山大学大学院保健学研究科
pp.630-635
発行日 2009年7月25日
Published Date 2009/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101244
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日本では,HIV/AIDSについて「HIV感染者」「エイズ患者」と表現されることが一般的です。この原稿でもこの表現を使用しますが,世界ではこれは一般的には使用されていません。1983年,デンバーでの第2回エイズ・フォーラムにおいて,当事者自身から「エイズの犠牲者」あるいは「エイズ患者」というラベルを貼られることに異議が唱えられました。そこで,「People/Person with AIDS ; 略してPWA」という表現を採用することが決議されたのです。それ以降,国際的なレポートや公的な場所では,PWA,あるいは「People Living with AIDS ; 略してPLWA」等が使用されています。
今回のテーマにある「スティグマ」とは,烙印という意味ですが,“病い”が偏見や差別の対象になることは過去にも多くありました。梅毒,ハンセン氏病,結核などはすぐに思い浮かぶことでしょう。そして現代では,HIV/AIDSもまた“病い”として社会に存在しています。科学がこれほど発展した現代社会で,どのような現実がそこにあるのでしょうか。世界中の看護師にとって,重要な課題であるHIV/AIDSについて,国際看護学の視点から学んでいきたいと思います。
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