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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
ミオパチー,筋ジストロフィーの病態・診断・治療法開発
Dysferlin遺伝子異常に伴う筋ジストロフィー
-――Dysferlinopathy
Muscular dystrophy associated with dysferlin gene mutations
青木 正志
1
,
髙橋 俊明
2
Masashi AOKI
1
,
Toshiaki TAKAHASHI
2
1東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野
2国立病院機構仙台西多賀病院脳神経内科
キーワード:
Dysferlin異常症
,
三好型遠位型筋ジストロフィー
,
肢帯型筋ジストロフィー
Keyword:
Dysferlin異常症
,
三好型遠位型筋ジストロフィー
,
肢帯型筋ジストロフィー
pp.983-987
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310983
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遠位型ミオパチーのひとつである,三好型遠位型筋ジストロフィーは下腿後面,特に腓腹筋に優位の筋萎縮で発症し,常染色体潜性(劣性)遺伝形式を示す.一方,近位筋優位の筋萎縮をきたす肢帯型筋ジストロフィーのなかで常染色体潜性(劣性)遺伝形式を示すlimb girdle muscular dystrophy 2B(LGMD2B)がほぼ同じ2番染色体短腕領域に連鎖することが明らかとなり,その異同が注目されていた.1998年に,その原因は同じ新しい遺伝子dysferlinであることが報告された.その後,dysferlinタンパクは筋細胞膜に局在し,膜修復過程に重要な役割を果たすことも明らかになっている.Dysferlin遺伝子異常に伴う筋ジストロフィーはCK値が高く,筋病理学的には筋ジストロフィーの所見を示すことは共通しているが,臨床型には多様性がある.同じ遠位型でも前頸骨筋から筋萎縮がはじまる症例も報告されている.これまでに多くの遺伝子変異が報告されてきたが,わが国の症例ではp.W999C変異の頻度が高く,その変異が認められる第Ⅱ領域の機能が重要と考えられる.そこで,その領域に結合するタンパク質を明らかにすることで,dysferlinの膜修復機能の解明が進められている.
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