特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
9.細胞膜関連
ジスフェルリンdysferlin(DYSF)
林 由起子
1
,
西野 一三
1
Yukiko Hayashi
1
,
Ichizo Nishino
1
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部
pp.480-481
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100477
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ジスフェルリンは筋ジストロフィーの原因遺伝子産物の一つとして同定されたフェルリンファミリーに属する蛋白質である。近年,骨格筋におけるカルシウム依存性膜修復機構に関与することが示唆され,注目を集めている1)。
ジスフェルリン遺伝子は染色体2p13に存在し,その遺伝子変異は常染色体劣性の遺伝形式をとる肢帯型筋ジストロフィー2B型(LGMD2B),三好遠位型筋ジストロフィー(MM),ならびに前脛骨筋ミオパチーを引き起こすことが知られている2-4)。ジスフェルリン遺伝子の異常によるこれらの疾患を総称してジスフェルリノパチーと呼んでいる。興味深いことに,たとえ同じ遺伝子変異を有する同胞間であっても,臨床的に近位筋優位の筋萎縮・筋力低下を示すLGMDタイプの症状を示す場合と,下腿後面の筋群が強く障害されるMMとなる場合がある。どのような要因が罹患筋の個体差を規定しているのかは明らかでない。
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