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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
ミオパチー,筋ジストロフィーの病態・診断・治療法開発
Ⅵ型コラーゲン関連筋疾患の原因遺伝子変異,病態と治療法開発
Type Ⅵ collagen-related myopathies:causative genetic variants, pathogenesis, and development of therapy
野口 悟
1
,
小川 恵
1
Satoru NOGUCHI
1
,
Megumu OGAWA
1
1国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部
キーワード:
COL6A1-3遺伝子
,
ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー(UCMD)
,
ベスレムミオパチー(BM)
,
モデルマウス
Keyword:
COL6A1-3遺伝子
,
ウルリッヒ型先天性筋ジストロフィー(UCMD)
,
ベスレムミオパチー(BM)
,
モデルマウス
pp.988-993
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310988
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Ⅵ型コラーゲン関連筋疾患は,小児期より関節拘縮を伴う筋力低下を示す遺伝性の筋疾患である.Ⅵ型コラーゲンサブユニットをコードするCOL6A1,COL6A2,COL6A3遺伝子の変異により発症する.これまでに,イタリアのグループによるCol6a1 KOマウスでの研究から,この疾患は骨格筋でのオートファジー不全により変性ミトコンドリアが除去できないために筋変性に至るという仮説が提唱され,それに対する前臨床研究,治験が行われたが,治療法の開発には至っていない.筆者らは独自に優性遺伝型のモデルマウスを作製し,ヒト疾患の症状の再現に成功した.また間質細胞,筋線維の解析を組み合わせて,本疾患の分子病態解明に成功している.筆者らがこれまで行ってきたモデルマウスでの病態解析の結果を踏まえ,治療法の開発を目指している.遺伝子変異に対する根本治療としては,変異アレル特異的な遺伝子サイレンシングが有効であり,骨格筋へのⅥ型コラーゲンの補充治療では間質前駆細胞の移植が有効であった.これらの治療法は,Ⅵ型コラーゲン関連筋疾患に対する次世代の治療となることが期待される.
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