Expert Lecture エキスパートに訊く筋ジストロフィー診療のポイント
Q1:GNEミオパチーの病態解明や治療はどこまで進んでいるのでしょうか?
吉岡 和香子
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部
pp.23-27
発行日 2024年11月20日
Published Date 2024/11/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0119.04.01_0023-0027
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GNEミオパチーの病態解明に関する研究は,当初いくつかの疑問点から始まった.GNE遺伝子は主に肝臓で強く発現し,骨格筋では非常に低い発現レベルであるため,なぜこの遺伝子の変異が筋疾患を引き起こすのか,その機序は長らく不明であった.GNE遺伝子がコードする蛋白質は,シアル酸合成経路において重要な役割を果たす.この蛋白質はGNE活性とMNK活性という2つの酵素活性をもち,シアル酸合成の鍵となる酵素として機能する.哺乳類においてシアル酸合成経路は唯一であるため,GNE遺伝子の変異はシアル酸合成の低下に繋がる1)(図).
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