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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
ミオパチー,筋ジストロフィーの病態・診断・治療法開発
ADSSL1ミオパチー
-――遠位型ミオパチーなのか?
ADSSL1 myopathy
――Is it a distal myopathy?
斎藤 良彦
1
,
西野 一三
1
Yoshihiko SAITO
1
,
Ichizo NISHINO
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部
キーワード:
ネマリンミオパチー
,
脂肪滴
,
幼少期から運動が苦手
,
握力低下
Keyword:
ネマリンミオパチー
,
脂肪滴
,
幼少期から運動が苦手
,
握力低下
pp.958-963
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310958
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ADSSL1ミオパチーは2016年以降,韓国人9患者で遠位型ミオパチーとして報告され,筋病理では縁取り空胞を伴う筋線維が特徴と報告された.59家系63名の日本人ADSSL1ミオパチー患者では,韓国例と同様に大半の患者がc.781G>Aとc.919delAの2つの変異を複合ヘテロ接合性に有しており,韓国と共通する創始者が存在することが示唆される.また,下肢遠位筋のみならず近位筋や舌,咬筋,横隔膜,傍脊柱筋,心筋など,これまでによりも多様な筋症状が示されている.骨格筋画像では外側広筋,腓腹筋,ヒラメ筋の脂肪置換が共通してみられる.筋病理では,脂肪滴の増加に加えて全例に共通してネマリン小体が観察され,国立精神・神経医療研究センターで遺伝学的に診断が確定した例のなかで最も頻度の高いネマリンミオパチーとされている.本疾患の臨床スペクトルは,これまでの遠位型ミオパチーとする報告よりもはるかに多様であり,遠位型ミオパチーに限定することなく,特に幼少期に仲間内で走るのが最も遅く,疲れやすい病歴を持つ患者において,本疾患を疑う必要がある.
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