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第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
ミオパチー,筋ジストロフィーの病態・診断・治療法開発
細管集合体ミオパチー(tubular aggregate myopathy)とその関連疾患
Tubular aggregate myopathy and associated diseases
小笠原 真志
1,2
,
西野 一三
1
Masashi OGASAWARA
1,2
,
Ichizo NISHINO
1
1国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部
2公立昭和病院小児科
キーワード:
tubular aggregates(TAs)
,
cylindrical spirals myopathy
,
周期性四肢麻痺
,
先天性筋無力症候群
,
Stormorken症候群
Keyword:
tubular aggregates(TAs)
,
cylindrical spirals myopathy
,
周期性四肢麻痺
,
先天性筋無力症候群
,
Stormorken症候群
pp.994-999
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28310994
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細管集合体ミオパチー(TAM)は,筋病理学的に筋線維内にtubular aggregates(TAs)とよばれる筋小胞体由来のtube状の異常構造物が蓄積し,筋力低下を呈する遺伝性の筋疾患である.細胞内Ca2+調節に関わるSTIM1,ORAI1遺伝子の常染色体顕性遺伝の機能獲得変異により筋細胞内のCa2+が異常に増加することによってTAMが発症すると考えられている.近年,筋小胞体のCa2+の貯蔵を担うタンパク質であるcalsequestrinをコードしているCASQ1遺伝子もまたTAMを引き起こすことが報告された.さらに,STIM1とORAI1遺伝子変異は縮瞳,魚鱗癬,血小板減少症,ディスレクシア,低身長,ミオパチーを伴うStormorken症候群をきたすことが報告されている.TAsは上記3つの遺伝子異常以外にも周期性四肢麻痺や先天性筋無力症候群でも認められることがある.TAsに似た病理像を呈する疾患としてcylindrical spirals myopathyが知られているが,その原因遺伝子や発症機序についてはまだ不明である.
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