Japanese
English
特集 脊椎脊髄疾患と間違えられそうになった症例・疾患
上肢遠位筋萎縮を呈するミオパチー
Myopathy Presenting Distal Muscle Atrophy in the Upper Limbs
今井 富裕
1
Tomihiro IMAI
1
1札幌医科大学附属病院神経内科
1Division of Neurology, Sapporo Medical University Hospital
キーワード:
頸椎症性筋萎縮症
,
cervical spondylotic amyotrophy
,
CSA
,
封入体筋炎
,
inclusion body myositis
,
IBM
,
筋強直性ジストロフィー
,
myotonic dystrophy
,
MD
Keyword:
頸椎症性筋萎縮症
,
cervical spondylotic amyotrophy
,
CSA
,
封入体筋炎
,
inclusion body myositis
,
IBM
,
筋強直性ジストロフィー
,
myotonic dystrophy
,
MD
pp.90-96
発行日 2018年2月25日
Published Date 2018/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200792
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はじめに
ミオパチーとは筋障害を呈する疾患の総称で,臨床的特徴としては,筋力低下,筋萎縮,筋緊張低下,腱反射低下・消失,感覚障害を伴わない,血清筋逸脱酵素上昇,筋原性筋電図所見,筋原性筋生検所見が挙げられる.原因としては,筋の変性,炎症,内分泌異常などが多い.一般にミオパチーの症状は近位筋優位であるが,一部には遠位筋優位の筋力低下・筋萎縮を呈する疾患があり,頸椎症の合併があると,遠位型の頸椎症性筋萎縮症(cervical spondylotic amyotrophy:CSA)16)と鑑別を要する場合がある.ミオパチーもCSAも感覚障害やlong tract signを伴わず,上肢に弛緩性麻痺・筋萎縮を呈するからである.
本稿では,前医で腰椎分離すべり症や頸椎後縦靭帯骨化症(ossification of the posterior longitudinal ligament:OPLL)と診断されたミオパチー(症例A)と,頸椎症としては責任高位が一致せず,かつ末梢神経にも対応する異常がないため診断に苦慮したミオパチー(症例B)を提示する.両者は別個のミオパチーであるが,頸椎疾患との鑑別という意味で共通の問題点を有している.2例の症例提示の後,これらのミオパチーと遠位型CSAの鑑別について解説する.
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