Japanese
English
第1土曜特集 遺伝性神経・筋疾患――診療と研究の最前線
その他の神経・筋疾患の病態・診断・治療法開発
球脊髄性筋萎縮症
Spinal and bulbar muscular atrophy
橋詰 淳
1,2
,
佐橋 健太郎
2
,
勝野 雅央
1,2
Atsushi HASHIZUME
1,2
,
Kentaro SAHASHI
2
,
Masahisa KATSUNO
1,2
1名古屋大学大学院医学系研究科臨床研究教育学
2同神経内科学
キーワード:
ポリグルタミン病
,
女性保因者
,
リュープロレリン酢酸塩
,
核酸医薬
Keyword:
ポリグルタミン病
,
女性保因者
,
リュープロレリン酢酸塩
,
核酸医薬
pp.1032-1037
発行日 2022年12月3日
Published Date 2022/12/3
DOI https://doi.org/10.32118/ayu283101032
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球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は,X染色体に存在するアンドロゲン受容体遺伝子上のCAG繰返し配列数の異常伸長を原因とするポリグルタミン病である.緩徐進行性の筋萎縮,筋力低下を特徴とする神経筋疾患であり,成人男性に発症する.下位運動ニューロン徴候を主体とするが,体毛の減少,皮膚の女性化,睾丸萎縮などのアンドロゲン不全症状,深部覚異常なども合併することが特徴的である.筋力低下発現の前に,手指振戦や筋クランプを高頻度に認めるが,血液検査においても血清クレアチニン値の低下や血清CK値の上昇を認め,診断の契機となる.通常,無症状と考えられる女性保因者においても極軽度の臨床所見と神経原性変化の存在を疑う検査所見が認められており,SBMAの早期病態の解明に寄与する可能性がある.わが国では2017年に抗アンドロゲン療法(リュープロレリン酢酸塩)が承認を取得しており,現在,実臨床下での有効性・安全性を検討する臨床研究が継続中である.
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