Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)は,伴性劣性遺伝形式を呈し,成人期に発症する緩徐進行性の下位運動ニューロン疾患である。主症状は四肢近位部の筋力低下・筋萎縮と球麻痺であるが,女性化乳房などの随伴症状もしばしばみられる。女性保因者は通常,無症状である。病理学的には脊髄前角細胞や顔面神経核,舌下神経核の変性,脱落を認め,ポリグルタミン陽性の核内封入体を,脊髄前角細胞や下位脳神経運動核などに認める。アンドロゲン受容体(AR)第1エクソン内のCAGリピートの異常延長がSBMAの原因であり,CAGリピート数は発症年齢や重症度と正の相関を示す。これまで報告されたSBMAの動物モデルはすべてトランスジェニックマウスであるが,SBMAと同程度の45ないし66CAGリピートを導入したマウスでは,表現型は認められなかった。一方,112CAGを有するtruncated ARや239CAGのみをtransgeneとしたマウスでは,歩行障害や体重減少,寿命短縮などの症状に加え,脊髄運動ニューロンなどに核内封入体を認めた。しかし,これらのマウスにおいても,選択的な神経細胞脱落や症状の性差は認められておらず,病態解析や治療開発に向けて,今後全長のARを有するマウスモデルの作製が必要と考えられる。
Spinal and bulbar muscular atrophy (SBMA) is an X-linked late-onset motor neuron disease characterized by proximal muscle atrophy, weakness, contraction fasciculations, and bulbar involvement. Heterozygous female carriers are usually asymptomatic. A specific treatment for SBMA has not been established. The molecular basis of SBMA is the expansion of a trinucleotide CAG repeat in the first exon of the androgen receptor (AR) gene, which encodes the polyglutamine (polyQ) tract.
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.