Japanese
English
第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
さまざまな生命現象と細胞死
骨形成と細胞死
Cell death on bone morphogenesis
今川 佑介
1
Yusuke IMAGAWA
1
1地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター研究所腫瘍増殖制御学部,大阪大学大学院薬学研究科環境病因病態学連携分野
キーワード:
骨形成
,
プログラム細胞死
,
軟骨内骨化
,
膜内骨化(膜性骨化)
,
骨のリモデリング
Keyword:
骨形成
,
プログラム細胞死
,
軟骨内骨化
,
膜内骨化(膜性骨化)
,
骨のリモデリング
pp.438-442
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305438
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骨組織は,骨の形成と吸収の調和によって維持されている.軟骨細胞,骨芽細胞,破骨細胞,骨細胞など骨を構成する細胞の死は,骨の発生,維持,修復に関与していると考えられる.骨の発生では,軟骨細胞の細胞死を伴う軟骨内骨化が観察される.さらに最近,骨表面の形成に関与する新たな細胞死も同定されている.また骨の維持においては,骨芽細胞による骨の形成と破骨細胞による骨の吸収がうまく調整されることで骨の形が維持されているが,これらは骨芽細胞と破骨細胞の分化と死の協調によって調整されている.破骨細胞の細胞死を制御できなくなると,骨吸収が骨形成に対して過剰になり,骨粗鬆症の病態を引き起こす.微小骨折などで骨細胞に細胞死が誘導されると破骨細胞が活性化され,損傷部位を含む骨が吸収されて新生骨が形成され,損傷部位が修復される.このように,骨ではさまざまな細胞が相互にその働きを調整しあっているが,細胞死の制御はこの協調において非常に重要な役割を果たしている.本稿では骨の発生から維持,修復に至る各場面で観察される細胞死について概説する.
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