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English
第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
さまざまな生命現象と細胞死
成体脳におけるニューロンの細胞死と再生
Cell death and regeneration of neurons in the adult brain
豊田 貴一
1,2
,
澤田 雅人
1,3
,
澤本 和延
1,3
Kiichi TOYODA
1,2
,
Masato SAWADA
1,3
,
Kazunobu SAWAMOTO
1,3
1名古屋市立大学大学院医学研究科脳神経科学研究所神経発達・再生医学分野
2同耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野
3生理学研究所神経発達・再生機構研究部門
キーワード:
細胞死
,
再生
,
ニューロン新生
,
脳室下帯
,
嗅球
Keyword:
細胞死
,
再生
,
ニューロン新生
,
脳室下帯
,
嗅球
pp.432-437
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305432
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近年の研究で,成体脳内に幹細胞があることがわかってきた.哺乳類では生後の脳の発達過程において,過剰に産生された幼若なニューロンが細胞死によって適切な数へ調整され,脳の機能成熟に貢献している.最近の研究では,発達が終了した成体脳でも,一部の脳領域で古くなったニューロンが細胞死を起こし,神経幹細胞から産生された新しいニューロンが適切に再生されることが明らかになってきた.また,脳梗塞などの脳傷害が生じると成熟ニューロンが大規模に細胞死を起こすが,幹細胞から産生された新生ニューロンが傷害部位へと移動して,失われたニューロンの再生に貢献することが示唆されている.したがって,成体脳における細胞死と再生は,成熟した脳の機能維持や傷害後の修復に重要な役割を果たすと考えられる.本稿では,成体脳におけるニューロンの細胞死と再生について,正常脳と傷害脳におけるメカニズムや意義を中心に議論する.
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