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第5土曜特集 細胞死のすべて――そのメカニズムと,生命現象・疾患との関わり
アポトーシスと非アポトーシス細胞死
ネクロプトーシスの分子機構と意義
Necroptosis
――Its molecular mechanism and pathophysiological role
森脇 健太
1
Kenta MORIWAKI
1
1東邦大学医学部医学科生化学講座
キーワード:
ネクロプトーシス
,
ネクローシス
,
RIPK3
,
MLKL
,
炎症性疾患
Keyword:
ネクロプトーシス
,
ネクローシス
,
RIPK3
,
MLKL
,
炎症性疾患
pp.335-340
発行日 2022年10月29日
Published Date 2022/10/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28305335
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ネクロプトーシスは,tumor necrosis factor(TNF)などのサイトカインや病原体成分によって引き起こされる制御性ネクローシスの1種である.ネクロプトーシスを引き起こすシグナルはすべて,細胞質に存在するセリン・スレオニンキナーゼであるreceptor interacting protein kinase 3(RIPK3)に集約され,その下流で働くmixed lineage kinase domain like pseudokinase(MLKL)が細胞膜の破裂を引き起こす.RIPK3やMLKLはさまざまな感染性・非感染性炎症性疾患に関わっており,これらの疾患における新たな治療標的として大きな注目を集めている.さらに,RIPK3-MLKLを中心した細胞内シグナル伝達システムの理解はネクロプトーシス研究として進んできたが,これらの分子にはネクロプトーシス誘導とは異なる別の機能が存在することが明らかになってきており,本研究分野は細胞死研究の枠を超えて大きな広がりをみせている.今後のさらなる研究の進展によって,さまざまな生命現象や病態の理解につながることが期待される.
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