Japanese
English
TOPICS 再生医学
iPS細胞を高効率・高品質に作製するKLF4改変体の開発
Development of KLF4 variants that generates iPS cells efficiently
林 洋平
1
Yohei HAYASHI
1
1理化学研究所バイオリソース研究センターiPS細胞高次特性解析開発チーム
pp.835-836
発行日 2022年8月27日
Published Date 2022/8/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28209835
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機能増強型リプログラミング因子改変体の開発
“細胞リプログラミング(初期化)” は,転写因子などのリプログラミング因子を異所的に発現させることで体細胞を他の望ましい種類の細胞に変える技術であり,iPS細胞の開発に代表されるように生命科学,創薬,再生医療の革新的技術として発展してきた.リプログラミング因子は,DNAのサイレンシング(遺伝子発現の抑制)された部分などに結合し,“パイオニア因子” として活発な転写イベントを開始し,大規模な下流の遺伝子発現や,エピジェネティック修飾状態の変更を制御する.リプログラミングの効率や質を改善するために,過去の多くの研究では,新規・代替・追加因子の探索,エピジェネティック修飾を変える因子の探索,培養条件,因子の導入方法の改善などに焦点が当てられてきた.しかし,iPS細胞の低い作製効率やその不均一性から,特に患者自身の体細胞から作製したiPS細胞を(自家)移植医療へ応用するのがいまだ困難である.他のさまざまなバイオメディカル業界の技術に目を向けると,タンパク質の構造情報に着目し,タンパク質工学などの技術を駆使し,天然タンパク質よりも優れたタンパク質改変体を作製して医薬業の発展に役立ってきた例は枚挙に暇がない.そこで,今回,筆者らの研究グループは,既存のリプログラミング因子自体の機能強化を目標として改変体の開発を試みた1).
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