Japanese
English
連載 バイオインフォマティクスの世界・第17回
プレシジョン・メディシンⅠ
-――がんゲノム医療
Precision medicine Ⅰ(cancer genome therapy)
凌 一葦
1
Yiwei LING
1
1新潟大学医学部メディカルAIセンター
キーワード:
プレシジョン・メディシン
,
ゲノム解析
,
がん変異
,
次世代シークエンシング
Keyword:
プレシジョン・メディシン
,
ゲノム解析
,
がん変異
,
次世代シークエンシング
pp.837-842
発行日 2022年8月27日
Published Date 2022/8/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28209837
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
SUMMARY
2003年にドラフトゲノムとして完了したヒトゲノム計画の次に開始されたのが,がんゲノム研究であった.次世代シークエンシング技術とヒトゲノム配列を用いることで,世界でも死因のトップである癌の治療応用を目指し,ICGCやTCGA等のがんゲノムプロジェクトが進められてきた.その結果,プレシジョン・メディシン(精密医療)が提唱され,遺伝子変異に合わせた治療が進められている.がんゲノム医療では,癌患者の腫瘍組織からのDNA配列をコンピュータで解析し,得られた遺伝子変異とそれに対応する分子標的薬を調べ,臨床現場へレポートを返すことで最適治療を実施する.ひとつのサンプルからは数百万本以上のDNA配列が得られるため,この大規模DNA配列の処理が必要になる.また,同定される遺伝子変異候補は非常に多いため,それぞれの遺伝子変異をさまざまな情報に基づいてキュレーションし,数個から数十個の癌遺伝子変異が得られる.このような遺伝子変異に基づき最適な分子標的薬による治療にたどり着く.ここではがんゲノム医療におけるバイオインフォマティクスの役割について紹介する.
Copyright © 2022 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.