Japanese
English
TOPICS 免疫学
CD4+T細胞によるコレステロール調節機構を利用した免疫制御
Immune regulation via exploiting cholesterol homeostasis by CD4+T cells
高橋 勇人
1
Hayato TAKAHASHI
1
1慶應義塾大学医学部皮膚科
pp.833-834
発行日 2022年8月27日
Published Date 2022/8/27
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28209833
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コレステロール濃度調節機構
免疫細胞を含むすべての細胞において,脂質の一種であるコレステロールは細胞の正常な活動に必須な物質である.細胞内のコレステロール濃度はコレステロールあるいはその代謝産物であるオキシステロールの濃度により,Insig,SCAP,SREBPといった分子を介して調整されている.コレステロールやオキシステロールが十分に存在している場合,コレステロールはSCAPと,オキシステロールはInsigと結合し,その結果Insig-SCAP-SREBP複合体が形成され,この三者の複合体は小胞体にとどまる.コレステロールやオキシステロール濃度が低下すると,InsigがSCAP-SREBP複合体と乖離し,SCAP-SREBP複合体はゴルジ体へ移行する.移行後,SREBPは酵素により切り出され,転写因子として機能し,コレステロール合成に関わる各種酵素などが誘導され,コレステロール濃度が適切に維持される1).ふたたびコレステロールとオキシステロールが十分量に戻ると負のフィードバックが働き,コレステロール合成に抑制がかかる.通常,オキシステロールはコレステロールから代謝・産生されるため,後者の濃度が高い場合は,前者の濃度も高く,両者の動きは一致し,オキシステロールのみが過剰に存在している状態は生理的に想定されてこなかった.
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