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第1土曜特集 五感を科学する――感覚器研究の最前線
視覚
体細胞を用いた角膜再生
The development of tissue engineering of the cornea
中村 隆宏
1,2
,
上野 盛夫
1
,
外園 千恵
1
Takahiro NAKAMURA
1,2
,
Morio UENO
1
,
Chie SOTOZONO
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科視覚機能再生外科学
2ときわ駅前なかむら眼科
キーワード:
角膜
,
培養粘膜上皮シート移植
,
培養角膜内皮細胞注入
Keyword:
角膜
,
培養粘膜上皮シート移植
,
培養角膜内皮細胞注入
pp.628-633
発行日 2022年8月6日
Published Date 2022/8/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28206628
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重症角膜疾患の従来の治療法は角膜全層をドナー角膜で置換する全層角膜移植術であったが,2000年代から障害を受けている部位のみを移植する角膜パーツ移植が角膜移植術の主流となっている.筆者らは,これまでに細胞工学的手法を角膜パーツ移植に応用して,難治性角膜疾患に対する再生医療の開発を行ってきた.角膜上皮の障害に対しては,ドナーの角膜上皮細胞あるいは患者自身の口腔粘膜上皮細胞を用いた培養粘膜上皮シート移植の臨床応用を行い,難治性眼表面疾患に対して日常生活に有用な視力を回復,温存することを可能とした.角膜内皮の障害に対しては,ドナーの角膜内皮細胞を拡大培養して得られた培養ヒト角膜内皮細胞を,細胞懸濁液の状態で注射針を用いて前房内に注入することにより,角膜内皮組織を再建する培養ヒト角膜内皮細胞注入療法を開発した.上皮再生,内皮再生いずれも臨床研究でその有効性と安全性を確認し,医師主導治験を実施した.本稿では,これらの体細胞を用いた角膜再生医療の実用化に向けた筆者らの取り組みを紹介する.
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